自転車

怪談-流山の公園

2019年7月10日

あれはもう

ちょうど1年近く前の話になります。

 

夏の終わりかけの頃

天気も悪かったこともあり

少し肌寒くなってきたので

冬用の長袖のジャージを着て

千葉の手賀沼を走った帰りのことです。

 

その日は自分には珍しく

早起きして走りに行ったので

手賀沼を走り終わって帰り

江戸川に向かっていたのですが

 

まだ14時頃

「腹減ったなー、なんか食べるか」

流山のあたりでしょうか

コンビニで適当に食べ物を買って

近くに公園がないか探してました。

 

少し走ると

道路沿いに崖を下ったような場所に

公園がありました。

 

見ると

石段を自転車を担いでいけば降りれそうです。

「ちょうどいい!」

そう思って、その公園に降りていき

ベンチに座りました。

道を挟んだ向こうでは

少年たちが野球の試合をしていて

なかなか盛り上がっています。

なんだかのどかで

昼食にはもってこいです。

公園の真ん中に立っている大きな木も

いい感じです。

 

それにしてもこの公園

それなりに近くに家があるのに

誰も子供が遊んでいない

人が一人もいないばかりか

人のいたなごりのようなものも見当たらない

 

おまけに西側はさっき降りてきた崖で

日が遮られて薄暗い感じ

「まあ、気を使わなくていいか」

そう思ってサンドイッチを食べていると

風も吹いていないのに

手前のブランコだけ揺れています。

崖の下にある公園なので

変なふうに風が吹いているのかな

「なんか、イッテQで心霊スポットで

      こんなんやってたなあ」

そう思っていたとき

変なことに気づきました。

 

音がない!

 

道の向こうを慌てて見ると

さっきと同じで野球少年の風景

 

でも、ぜんぜん声が聞こえない!

 

街の音も、崖の上の車の通る音も

さっきから全然聞こえない!

「あ!これまずい!」

慌てて自転車を起こし

道に出ると

「とにかく公園から離れなきゃ」

そう思って

全力で走りました。

 

しかし、何かに引っ張られるように

思ったように自転車が前に進まない。

 

「やめて、やめて、やめて!」

死に物狂いでペダルを回しました

少しでも離れたい

その思いだけです

 

スッと

体から何かが剥がれ落ちたような感覚があり

 

急に体が軽くなりました。

 

車の走る音が遠くから聞こえてきます。

自転車を止め、振り返ると

遠く向こうにはあの公園

そしてその向かいには野球グラウンド。

その時初めて気づいたんですが

曇り空がいつの間にか晴れていたようです。

道路に陽がさしていました

 

 

あの公園で感じたこと

気のせいだったのかもしれないし

何かに出会ったのかもしれない

まあ、どちらにしても

二度とあの公園には自分は行かないだろうな

そう思いながら家路に向かって走り始めました。

 

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